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糖尿病の3大合併症|糖尿病性網膜症

糖尿病が進行すると恐いのは合併症です。
糖尿病は自覚症状がないため、いつの間にか症状が進行し手遅れになると失明、人工透析、足の切断などの重大な障害を引き起こしてしまいます。
自覚症状が出た時には、すでに症状が悪化しているか、合併症を起こしている可能性が疑われます。
定期的に検査を行い、正しく病態を評価し、適切な治療を継続することが重要です。

今回は「糖尿病性網膜症」について解説していきたいと思います。

 

糖尿病ってどんな病気?

糖尿病は、血液の中のブドウ糖(グルコース)の濃度(血糖値)が高い状態(高血糖状態)が続く病気です。
放っておくと、さまざまな臓器に合併症が起こる危険性が高くなります。

私たちの食事の主食となる米やパンなどに多く含まれる糖質(炭水化物)は、小腸でブドウ糖に分解されて、血液の中に吸収されます。

この血液中の糖の値(血糖値)は、体の中の「インスリン」というホルモンの作用で、ほぼ一定の値に保たれています。

この血糖を調節する仕組みがうまく働かなくなり、血糖値が高い状態(高血糖状態)が続くようになってしまうのが糖尿病です。

 

糖尿病の診断基準について

1~4のいずれかに当てはまる場合は「糖尿病型」と判定されます。

1.早朝空腹時血糖値126mg/dl以上が確認された場合
2.75gブドウ糖負荷試験で2時間血糖値200mg/dl以上が確認された場合
3.随時血糖値200mg/dl以上が確認された場合
4.HbA1c 6.5%以上が確認された場合

別の日に検査して再び1~4に該当すれば、糖尿病と診断されます。

ただし、初回検査と再検査の少なくとも一方で、必ず1~3の基準を満たしている必要があり、4のHbA1cのみの反復検査では糖尿病とは診断されません。

1回の採血で血糖値とHbA1cを測定した場合、ともに糖尿病型であることが確認されれば、1回の検査だけでも糖尿病と診断されます。

 

糖尿病の3大合併症とは

・糖尿病性網膜症
・糖尿病性腎症
・糖尿病性神経障害

上記を糖尿病の3大合併症と呼びます。

糖尿病に特有の合併症で、高血糖を治療せずに放置していると、糖尿病発症時から約10年でこれらの合併症が出てくると言われています。

 

糖尿病性網膜症について

高血糖によって目の底にある網膜という部分の血管が悪くなり、視力が弱まります。

中には失明する場合もあります。

高度の視覚障害に至るまで症状がない場合や、いきなり眼底出血を起こして眼科を受診し初めて糖尿病を指摘される場合もあります。

また、白内障になる人も多いと言われています。

眼科専門医による定期的な診察が必要になります。

 

現在、日本の失明原因としては緑内障に次いで第2位で、失明人数は年間約3,000人とされています。

 

糖尿病性網膜症の症状

糖尿病網膜症は、進行の程度により大きく三段階に分類され、単純網膜症増殖前網膜症増殖網膜症と進行していきます。

また、視力低下を引き起こす糖尿病黄斑浮腫はすべての時期で起こることがあります。

 

単純網膜症

網膜内の血流が悪くなり始めた網膜症の最初の段階です。
自覚症状はほとんどありませんが、網膜の血管の壁が盛り上がり、毛細血管瘤ができたり、点状・斑状出血などの異常があらわれます。
タンパク質や脂肪が血管から漏れ出て網膜に硬性白斑ができることもあります。

増殖前網膜症

血管が詰まって網膜全体に血液が行き渡らなくなり、虚血部分が生じてきます。
軟性白斑のほか、血流が途絶えてしまう血管閉塞、静脈が異常に腫れてしまう静脈異常、血管から染み出た血液が原因で網膜が腫れる網膜浮腫などが起きます。

増殖網膜症

視力低下と、飛蚊症などの症状が現れます。
虚血部分に酸素や栄養を送り込もうと、新生血管が伸びてきますが、この血管は出血しやすく、網膜の表面や眼球の硝子体内に出血する硝子体出血、血管から染み出た成分の刺激で形成される増殖膜が原因となり、網膜剥離が発生します。

糖尿病黄斑浮腫

網膜の中にある黄斑部に、血液成分が染み出て黄斑部に浮腫(むくみ)ができます。
黄斑部は視力に重要な部分であるため、黄斑浮腫が生じると、急な視力低下が起こることがあります。

 

糖尿病性網膜症の治療

レーザー光凝固術

虚血部分にレーザー光を当て、熱で凝固させことで、網膜の虚血部分の酸素の必要量が減らすための手術です。
網膜の酸素不足を解消し、新生血管の発生の予防ができます。
また、すでに出現してしまった新生血管そのものを凝固させる場合もあります。
視力を回復させるための手術ではありませんが、失明の予防のために行われます。

硝子体手術

レーザー光凝固術で進行を阻止できない場合や、黄斑浮腫の軽減のために硝子体手術行います。
硝子体とは眼球の中を満たしているゼリー状の組織で、硝子体手術では硝子体内の出血している部分や、増殖膜を切除して取り除く手術です。
糖尿病黄斑症では、硝子体手術で黄斑部の浮腫が消失する可能性があり、70%程度の割合で視力が回復する場合があります。

 

まとめ

このように糖尿病は、放置しておくと大変恐ろしい合併症が出てくる病気ですが、食事や運動、薬剤などの助けによって、その症状をコントロールすることができ、健康な人と同様の生活を送ることができます。

まずは糖尿病を正しく理解し、糖尿病を予防することが大切です。

今回は「糖尿病性網膜症」について解説しました。

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