鼠径ヘルニア(脱腸)という病気の危険性を理解する上で、「嵌頓(かんとん)」という状態を知っておくことはとても大切です。
鼠径ヘルニアは初期症状の段階では、鼠径部のふくらみを押せばもとに戻る、痛みがないといったことから放置されがちな病気です。
ただし鼠径ヘルニアを放置しておくと、命に危険が及ぶ場合もある「嵌頓」状態を起こす可能性があります。
そこで、この記事では「嵌頓とは」をテーマに、嵌頓の意味や状態などをご紹介していきます。
鼠径ヘルニアについて
まず初めに嵌頓を理解するために、鼠径ヘルニアという病気についてご紹介します。
鼠径ヘルニアとは一般的に「脱腸」と呼ばれ、本来はお腹の中にある腸の一部が太ももの付け根の部分「鼠径部」から飛び出てくる病気です。
鼠径ヘルニアの症状としては、太ももの付け根の部分「鼠径部(そけいぶ)」にポッコリとしたふくらみが出ること、鼠径部に痛みを感じることなどがあげられます。
そのような鼠径ヘルニアの原因ですが、加齢とともに鼠径部の筋肉が弱くなり、鼠径部にある管「鼠径管」に隙間ができ、その隙間から腹膜が風船のように飛び出すことがあげられます。
この風船のように飛び出した腹膜の中を腸が出入りするのが鼠径ヘルニアという病気です。
嵌頓とは|意味や状態について
冒頭にお伝えしましたが、鼠径ヘルニアは初期症状の段階では、鼠径部のふくらみを押せばもとに戻る、痛みがないといったことから放置されがちな病気です。
ただし、そのまま鼠径ヘルニアを放置していると、その症状が増し、日常生活に支障が出るだけでなく時に命に危険が及ぶこともあります。
その命に危険が及ぶ状態を“嵌頓”と言います。
嵌頓(かんとん)とは、筋肉の隙間から脱出した腸が戻らなくなる状態をさします。嵌頓状態になると腸は脱出口で締め付けられ、腸の血流が途絶えます。
嵌頓を起こした結果、腸は腐って(壊死して)穴が開きます。この状態を腸管穿孔といいます。
その穴から腸の内容物が漏れ出し、腹腔内(お腹の中)に広がると、腹膜に炎症が起こり「腹膜炎」という病気を発症します。腹膜炎を発症すると緊急手術が必要になり、対応が遅れると命に危険が及びます。
この腹膜炎を起こすと、腹部全体に激しい腹痛が生じ、吐き気、嘔吐、腹部膨満感などを伴う場合があります。また状態によっては命に危険が及ぶ可能性もあり、緊急手術を行う必要があります。
嵌頓を起こす前に鼠径ヘルニアを治療する
このように鼠径ヘルニアを放置することで嵌頓になり、重篤な状態まで進行すると緊急手術が必要になり、対応が遅れると命に危険が及びます。
嵌頓とは鼠径部で筋肉の隙間から脱出した腸が戻らなくなる状態を意味します。嵌頓を起こすと腹膜炎など重篤な状態まで進行する可能性があり、対応が遅れると命に危険が及ぶ可能性もあります。
この嵌頓はいつ起こるか分かりません。
このような背景から、嵌頓を起こす前に鼠径ヘルニアを治療することが重要です。
この記事では「嵌頓とは」をテーマに、嵌頓の意味や状態などをご紹介しました。
ご紹介した内容が少しでもご参考になれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。