鼠径ヘルニアと聞くと、「高齢男性がかかる病気」と思う方も多いのではないでしょうか。
しかし、近年は女性の鼠径ヘルニアの患者さんが増加傾向です。
この記事では「女性の鼠径ヘルニア」をテーマに症状や原因、治療などを特集します。
女性の鼠径ヘルニア
鼠径ヘルニアという病気は男性の3人に1人が発症するとされ、一般的に男性に多い病気です。
また高齢男性に多いことから、「鼠径ヘルニア=高齢の男性が発症する病気」というイメージが強いです。
ただし鼠経ヘルニアは女性でも発症する病気で、決して女性において珍しい病気ではありません。さらに近年においては、女性の鼠径ヘルニアの患者さんが増加傾向となっています。
鼠径ヘルニアとは
鼠径ヘルニアが起こる場所である「鼠径部」とは、足の付け根のややくぼんだ線より上にある三角状の部分をいいます(お腹でいえば、下腹部にあたります)。
この鼠径部の中には鼠径靭帯(そけいじんたい)があり、鼠径靭帯の内側寄りに鼠径管(そけいかん)が通ります。鼠径管には男性では精索が、女性では子宮円索などが通っています。
鼠経ヘルニアという病気は、鼠径部の筋肉が衰え鼠径管を通じて腹膜が押し出されやすい構造となり、押し出された腹膜の中を腸が出入りする状態をさします。鼠径ヘルニアは腹膜を通じて腸の一部が皮下に脱出した状態となっていますので、太ももの付け根の膨らみが主な症状です。
女性の鼠径ヘルニアの特徴
鼠経ヘルニアは腸が脱出している膨らみがどの場所に出ているかによって、内鼠経ヘルニア、外鼠経ヘルニア、大腿ヘルニアに分けられます。
女性の鼠径ヘルニアにおいては、外鼠径ヘルニアと大腿ヘルニアが多い傾向にあります。なかでも大腿ヘルニアは、男性よりも女性の方が発症しやすくなっています。
また女性の鼠径ヘルニアの特徴として、10代から50代まで年齢を問わず発症することがあげられます。これは加齢とともに鼠径ヘルニアを発症する男性とは大きく異なります。
また女性の鼠径ヘルニアは男性と比べ緊急手術になりやすいことが分かっており、放置しておくと危険です。
女性の鼠径ヘルニアの治療
鼠径ヘルニアの治療ですが、鼠径ヘルニアは手術でしか治療できません。
ヘルニアバンドや脱腸帯という圧迫する道具もありますが、これらは症状を抑えるだけの対症療法でしかありません。
鼠径ヘルニアの治療である手術ですが、術式としては皮膚を切開して治療する鼠径部切開法と、腹腔鏡(内視鏡)をお腹の中に挿入して治療を行う腹腔鏡法などがあります。また治療期間も、従来の入院して手術を行う治療、日帰り手術での治療と複数の選択肢が存在します。
女性の場合は妊娠の可能性や鼠径ヘルニアの手術後の傷など手術を行うにあたり、配慮すべきことも多いです。
そのため治療を受けるクリニックの医師にしっかりと相談を行い、その上で手術による治療を受けることをおすすめします。
以上、この記事では「女性の鼠径ヘルニア」について特集しました。
ご紹介した内容が少しでもご参考になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。