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妊娠高血圧症候群について

妊娠高血圧症候群とは、妊婦さんとお腹の赤ちゃんの命に関わる重大な病気。
ですが、有効な治療方法が「妊娠を終了させるしかない」という難しい病気でもあります。
妊婦さんと赤ちゃんの命を守り、より健やかに過ごすためには、少しでも早くリスクを知り、出来るだけ良い状態でお産を迎えることが大切です。

今回は、「妊娠高血圧症候群」について解説していきたいと思います。

 

高血圧について

前回の記事でも紹介しましたが、もう一度高血圧がどんな病気かお話ししたいと思います。

血圧とは、血液が血管を流れる際に血管の内側にかかる圧力のこと。
よく、血圧の「上」や「下」という言い方をしますが、上は心臓が収縮して血液を送り出したときの「収縮期血圧(最高血圧)」のことです。
下は心臓が拡張したときの「拡張期血圧(最低血圧)」のことです。

収縮期血圧が140㎜Hg以上、拡張期血圧が90㎜Hg以上のとき、高血圧と診断されます。

 

血圧の値の基準について

成人の血圧値は、以下のように分類されます。

収縮期血圧140mmHg以上、または拡張期血圧90mmHg以上の人は高血圧に該当されます。

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妊娠高血圧症候群について

妊娠高血圧症候群は、以前「妊娠中毒症」とも呼ばれていました。
これは、妊娠により妊婦さんの身体に毒素が発生し、その毒素が妊婦さんに高血圧やたん白尿、浮腫(むくみ)などの症状を引き起こすと考えられていたためです。

通常、妊娠をすると胎児のために母体の血液量はおよそ 1.5 倍に増えます。
正常な妊婦では血管は軟らかく広がり、血圧が上がらないような仕組みになっています。
しかし、妊娠高血圧症候群の妊婦さんは、何らかの原因で血管を広げることが出来ないため、血圧が上がってしまいます。

最近ではさらに研究が進み、原因が解明されつつあります。

妊娠初期に胎盤が作られますが、その際に妊婦さんと赤ちゃんの間で酸素や栄養のやりとりを行う大事な血管が胎盤内にうまく作られないと、循環調節因子のバランスを崩し、妊婦さんに高血圧やたん白尿、胎児発育不全など妊娠高血圧症候群の症状を引き起こすということが解明されてきました。

 

妊娠高血圧症候群のリスク因子について

残念ながら、なぜ胎盤の血管がうまく作られないのかは詳しく分かっていません。
家族歴や既往歴がある場合に多いことは確認されており、何らかの遺伝的要因があるとされています。

また初めての妊娠や多胎妊娠など妊婦の環境だったり、肥満や高血圧、糖尿病など妊娠以外の合併症があると妊娠高血圧症候群を発症しやすいことが知られています。

ご自身のリスクをチェックし、発症のリスクや今後の重症化のリスクについて知っておきましょう。

・年齢
若年妊娠(20 歳未満)、高齢妊娠(40 歳以上)

・体重
BMI=25 以上の肥満 特に BMI 30 より多い場合にはリスクが高い

・家族歴・遺伝的素因
高血圧の家族歴
糖尿病の家族歴

・既往歴(今までかかったことのあるの病気)
高血圧
糖尿病
妊娠高血圧症候群
甲状腺機能亢進症
甲状腺機能低下症
全身性エリテマトーデス (SLE)、混合性結合組織病 (MCTD) などの膠原病合併妊娠
抗リン脂質抗体症候群

・初産婦

・多胎妊娠

 

まとめ

妊娠高血圧症候群ですが、出産後は症状が軽快することが多く、出産後 12 週までにはほとんどが妊娠前の状態に戻ります。
しかし、妊娠高血圧症候群を発症した女性は、発症していない女性と比較し、将来高血圧になるリスクが高いことも分かっています。
妊娠が終了しても、自分の血圧を把握し、食生活や体重の変化などに注意していくことが大切です。

今回は、「妊娠高血圧症候群」について解説しました。

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